147ブラックライン 整備記録

2代目

2016年02月09日 17:07

こんにちは2代目です。(^^)v

今日は、最近恒例となった
アルファロメオの整備記録を投稿したいと思います。
自分の覚書の意味が大きいので、写真も多めに載せます♪

超長文です(笑)

昨年末の12月の初旬。
1本の電話を受け、店で待っていましたら、やたらカッコいい147が入ってきました。



ただ、あまり聞きなれない、かつ、僕たち整備士の耳で聞くと、
え!?Σ( ̄□ ̄;) っていう、
ちょっと冷や汗が出るほどの『異音』が気になりました。
ひどいガラガラ音です。。

今回の車は、
アルファロメオ147の特別使用車『ブラックライン』
フルエアロパーツにダウンサス、社外マフラーと、
かなりカッコよくカスタムをされているお車です。
ボクの理想のカスタムスタイルですね♪

さて、故障原因の追及に入ります。

まず疑ったのは、タイベルのタイミングのズレ。
もしくはひどいタペット音(バルブクラッシュ)。
ということで、入庫するなり速攻でタイミングベルトの所まで分解を進め、
タイミングベルトの異常が無いか。と、
タイミングが合っているかを確認しました。



あの異音からしたら、意外なほどタイミングベルトやタイミングは正常。

次はタイミングバリエターの異常かなと思いましたが、



↑これは単体チェックはできないので、他の所の原因を探ります。

続いて圧縮。
ここで原因が、50%ほど特定されました。



2番と3番のシリンダーに圧縮が得られておりません。
全く無いわけでありませんが、かなり低い。
逆に言うと、よく遠方から加世田のウチの会社までたどり着いたなっ!!というレベルでした。(^-^;)(笑)
工場に入ってきた時の異音を考えると、
引き取りに行ってたほうが良かった(^-^;)と後悔するほどのレベルだったので、
この時点で重整備になることが確定です(笑)


お車お預かりして、なるだけ安い価格で完璧に修理をしてお渡ししたかったので、
お客様には、数パターンの見積もりを作ることにしました。
バルブ交換の見積もり。
タイベルまで含めた見積もり。
タイミングバリエーターまで含めた見積もり。
と、大体これくらいのお見積りです。

さて作業に入ります。
詳しい原因の特定をしたくて、さらに分解を進め、







ここで異音の原因を特定しました。
2番3番のエキゾーストバルブにわずかな変形が見られ、圧縮不良を起こしています。



なぜバルブクラッシュに至ったのかを考え、シリンダーの方を触ってみたら、
なんと3番シリンダーに大きなガタを発見しました(^-^;)

これが今回の故障の一番の原因です。。。



おそらくクランクジャーナルベアリングが焼き付きを起こし、
正常なクランク回転が得られず、
バルブを突き上げてしまったものだと思われます。

こうなった原因は、おそらくオイル管理によるものと思われますが、
お客様も県外のショップから中古車での購入だったので、
それまでのオイル管理状態が分かりません。

ここは、致し方ないので、
うちの会社にあった147のストック車輛から、
エンジンのブロックとヘッドの移植をすることにしました。

さらに大きな重整備確定です(^-^;)(笑)
ここで、大体のお見積りを再度作り直して、お客様にも了解を得て、
作業に入ることになりました。



バルブの交換やジャーナルベアリングの部品交換での修理も考えましたが、
オイル管理状態が分からないおクルマで、
修理後のオイルストレーナーやオイルラインの詰まり等の弊害も考え、
オイル管理のしっかりしていたストック車両のからの移植を選択しました。

さ。というわけで、
まずはドナー車輛からのエンジン脱着作業から進めます。



エンジン周りの細かいパーツや、マフラーや、
サブフレームなどを外していきながら、もろもろ作業がたくさんありますが、
ここは文章にすると、めちゃくちゃ難儀なので、割愛します(笑)
こういう感じで、作業進めてエンジンを下ろしました(^^)v





続いては、修理依頼車輛のエンジン脱着に取り掛かります♪





はい、降ろし終りました♪♪(笑)(^^)v

ここからが大変な作業なんですが、
(・・・いや、ここまでも十分大変ですけど(^-^;)(笑))
ドナー車輛で使用する部品は、エンジンブロックとシリンダーヘッドだけなので、
インテークマニホールドやエキゾーストマニホールド、
オルタネーターやミッションなど、依頼車輛の方と入れ替えを行います。





なぜこんな面倒な事をしたかと言うと、
インテークについているエンジンコンピュータのイモビライザーの関係です。
それに、依頼車輛の後期型と、ドナー車輛の前期型、
多分おそらく同じパーツも使っているとは思いますが、
部品にも細かなマイナーチェンジがあると思われましたので、
全て入れ替えて交換することにしました。



すべて組み終わりまして、タイミングベルトなどまで正確に組み直し、正常に動くか確認したら、
ミッションケースの入れ替えに取り掛かります。





今回は、お客様の依頼で、せっかくここまでするならと、
クラッチ3点セットの交換もついでにすることにしました。



故障車両のミッションを外します。



到着したクラッチ3点セット。


故障車両のクラッチは、まだ綺麗な感じ。
交換時期まではもう少しでもったいないかな。。といった印象。



ドナー車輛のクラッチ。よーく見るとクラッチの交換時期までもう少しでした。



間違えないようにシャッフルします。(笑)







クラッチなども、問題なくインストール完了しました。(^^)v

着々とエンジンを組み上げ、いよいよ元の車輛の方に戻します♪





エンジンを載せ終わり、もう少しで完成です。
最後に、ドライブシャフトブーツが破れていたので、交換しました。





この147の修理の途中に、タイミングベルト交換が入ったり、
他の修理が入ったりして、工場内に147の中に並ぶ!!という、
田舎の車屋さんらしからぬ、カッコいい光景がたびたび見受けられ、
個人的には結構面白かったです(≧▽≦)(笑)



全て組み上がり、セレオイルやパワステオイル、冷却水などの補充もOK!
各部品の単体チェックなど全て済ませ、
エンジンオイルもいつものワコーズのプロステージSを投入(^^)b
最後に、コンピューター診断を済ませ、それからセレキャリブレーションなどを済ませまして♪
すべての作業が完了しました!!!





あとは、いつもの儀式・・・っていうか神頼みをして(笑)、エンジン始動!!!
アルファロメオらしい最高のサウンドを響かせました♪
ホッとしたのと同時に、入庫時の異音も綺麗に除去できていたのを確認して、
ようやく最後の試運転に漕ぎ着けることが出来ました(^^)v

1ヵ月半ぶりに、火の入ったエンジン。そして爽快な走りを取り戻しました。(^^)v
試運転でも本来の走りを実感でき、安心して納車できることを確信しました。



自分も普段の整備以外の業務をこなしながら、空いた時間に作業していたので、
1か月半という時間がかかってしまいましたが、
先日、無事に納車を済ませ、試運転にも同乗していただき、
『いままでと全然違うっ!!!』とお客様も感動していただいたので、ほっとしました。(≧▽≦)


これにて、今回の整備も完了♪

ボクにとっても、大変いい勉強になりました(^^)v

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